相談役日記

初対面の相手に話を聞いてもらうには

塾経営のTips
2010.07.05
石井正和

昨日弊社のある教室の様子を見に行ったところ、
たまたま来社されているお母様がいらっしゃって、塾長が話をしておりました。
会話の様子から、塾長が一生懸命喋っているんだけれども
お母様の方はあまり熱心にお聞きになっている感じではなく、
「はい、はい、では子どもと相談して決めます。」というようなことをおっしゃっていました。

実はこのとき、夕方の4時頃で
まだ生徒や講師達が来ていない時間帯でした。
いらした方から見れば、ガランとして活気がないため不安になってしまいます。
ましてや初めて教室に足を運んでくださった場合には、
不安な気持ちが余計に大きくなってしまうでしょう。
お子様の様子や状況を知ろうとすることは大切ですが、
塾長はまずお母様の不安な気持ちに気付いてフォローしなければなりません。
『いつも活気があるんですが、まだ授業の時間帯でないのでガランとしているんです。
今度はぜひ夜にいらしてください。雰囲気がお分かりになると思いますから。』
こんな一言をかけてあげるだけで、不安は随分和らぐでしょう。

それから、このご家庭のお子様は中学受験専門塾に通っていて
そちらが難しくなってきたので補習としてノーバスへの入塾を検討されていました。
こうした場合には、『学び残しがどこか見るので一度体験授業にいらしてください』と言うのではなくて
共通の話題を提供したり、過去の経験などを話した方が、信頼感が生まれてお母様が話を聞く気になります。
例えば、私はこのお母様の帰り際にこのようなお話をさせていただきました。
「うちの娘も何年か前に受験したんだけれども、●塾に通っていたら数学だけ難しくて弱くなっちゃったので
先生つけて勉強させたんですよ。そしたらお蔭様で△△校受かって、最終的には□□中に通うことになったんですけど。
●塾の算数は難しいですが、今からちゃんとやって基礎を固めていけば大丈夫ですから
うちの塾の先生と一緒にカウンセリングしてどこでつまづいているのか確認してみて下さい。」
すると、このお母様は目を輝かせて「そうですか。」とおっしゃってくださいました。

一番大切なのは、最初にお会いした時に相手が話を聞く気になるような言葉をかけることです。
相手が何を必要としているのか?
どんな気持ちでいるのか?
そうしたことを探るために、感じよく共通の話題で気持ちを惹きつけて安心感を与えてあげてください。
気持ちの上で負けていると、お母様がいらっしゃった時に
『少し詳しいお話をしますので、お時間いいですか』と聞いてしまう。
すると警戒心が解けないので『忙しいから』と断られてしまいます。
まずはお母様を引っ張りこむ気持ちを持って、『どうぞこちらへ』と感じよくご挨拶してみてください。